名札・ネームプレートにまつわるショートストーリーvol.1
名札・ネームプレートにまつわる、ショート・ショート。今回は「“初恋”にまつわる、あの日の思い出」というお題。匿名のOLさんからの投稿です。
~名札、ネームプレートと初恋、あの日の思い出~
名札。ネームプレート。
この前参加した会社の研修で渡された一枚の紙。そして、ペン。
どうやらここに会社名と名前を書くらしい。
これって意外と難しい。
全く知らない人に自分の名前を伝える。
汚い字、くせ字。
きれいな字、小さくて可愛らしい字。
字は性格までも表すというから安易には書けなくなってしまった。
名札とかネームプレートなんて、もう久しくつけてない。
小学生のころは学年ごとに色分けされていて、私の学年は黄色の名札だった。
失くしたり、壊してしまったら300円ぐらいで新しいのを作ってもらうことができた。
好きな人ができたとき、名札をよく見ていた。
名札で覚えた苗字と友だちが呼んでいた名前を、
授業中にノートの端のほうに小さく書いて、誰にもきづかれないうちに素早く消して。
それだけでドキドキしていた。
ジンクスだってあった。
好きな人の名札をもっていたら、両想いになる。
友だちはいつの間に手に入れたのか、好きな人の名札を2,、3枚持っていた。
驚くことに、全部違う名前の名札だったりするのだ。
大人になって、自己紹介が増えた。
「○○といいます。趣味は読書です。・・・・・・。へへへ。」
みたいな感じで笑ってごまかして、終わり。
後に続く言葉はなかなか思いつかないもので、
女子会ではきっとたくさんしゃべるであろうあの人も、なんだかきれが悪かったり。
この間行った友だちの結婚式では、自分の席にネームプレートが置いてあった。
そしてその裏にはメッセージが書いてあった。
「今日は来てくれてありがとう!おいしい料理と音楽を楽しんでね!」
私はネームプレートを見つめた。
それはとても綺麗な絵柄の入った、薄いピンクのネームプレートで、
彼女の雰囲気にとてもよく似ていた。
そして、何十人も来ている友だち、親族ひとりひとりに手書きでメッセージを書いた友だちを思うと、嬉しくて、暖かい気持ちになった。
思いもかけず名札に思いを馳せてしまった。
手元にあるのはまだ白いままの紙。
名札にニックネームを書くことも
たくさんの情報を詰め込むことができる。
それは私を伝える手段なのだ。